西麻布に残るチェコの名建築家、アントニン・レーモンド設計の建物たち

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西麻布(笄町)所縁の建築家

チェコ出身の建築家アントニン・レーモンドをご存知でしょうか。
このブログでも過去に東京タワー横にあるレーモンド設計の聖オルバン教会とアンデレ教会を紹介したことがあります。

レーモンドは教会などを中心に数々の名建築を日本に残した、日本の近代建築の要となる建築家です。ですからレーモンド設計の建物を知っている方は多いかもしれません。

しかし、実はアントニン・レーモンドは、設計事務所も自宅も笄町、現在の西麻布にあったという事は、あまり知られていないかもしれません。

フランク・ロイド・ライトの弟子

レーモンドはプラハ工科大学で建築を学んだ後、アメリカへ移住します。そこで、フランク・ロイド・ライトの事務所で働き始めます。

1919年ライトと一緒に帝国ホテル設計のため初来日します。これをきっかけに1922年に独立して日本にレーモンド設計事務所を設立するのです。
(レーモンド自身は関わっていませんが、この設計事務所は広尾のチェコ大使館の建設にも貢献しています)

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霊南坂から笄町へ

レーモンドは1923年霊南坂、現在の赤坂1丁目あたりに自邸を構えますが、その後1951年から1978年まで笄町に自邸兼事務所はありました。ちょうど現在の麻布税務署のあたりのようです。

霊南坂の自邸も笄町の自邸兼事務所も残念ながら現存しませんが、この笄町のレーモンド邸を本人の許可を得て、そっくりそのままコピーした人がいます。

それが後にレーモンド建築の傑作の1つ、群馬音楽センターの設計依頼をする群馬県高崎市の実業家井上房一郎です。

群馬県高崎市にあるレーモンド邸

自宅を焼失した井上房一郎はレーモンドから図面の提供を受け、さらに笄町のレーモンド邸を実測した上で高崎市に自邸を建築します。

笄町のレーモンド自邸はレーモンド没後取り壊されましたが、井上邸は現在、高崎市の所有となり、高崎市美術館の一部として一般公開されています。

これは、是非見てみたいと思い、レーモンド建築の傑作、群馬音楽センターと共に見学に行ってきました。

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旧井上邸ではアクリルがはまっている屋根もレーモンド自邸では、古い写真によると藤棚だったようで、家の中心に緑が配置されたモダンな作りだったことがわかります。

また、家具はレーモンドの妻、ノエミ・レーモンドデザインのものが多数置かれていました。

和室の照明はイサム・ノグチです。

この旧井上邸は現在、森美術館で開催中の「建築の日本展」にも取り上げられています。

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群馬音楽センター

群馬音楽センターは1961年竣工の音楽ホールです。高崎市の文化振興に貢献した井上氏の依頼によって設計されました。

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また、この群馬音楽センターにはレーモンドギャラリーが併設されており、当時の貴重な図面などを見ることができます。

高崎市美術館にある井上邸からも徒歩でいける距離なので、是非、両方見学することをオススメします。

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西麻布のもう1つのレーモンド建築

アントニン・レーモンド建築が西麻布に現存するのはご存知でしょうか。

音楽家カニングハムの自邸、現カニングハム・メモリアル・ハウス、社団法人青少年音楽協会の事務所として、現在も引き続き音楽のために使用されている木造建築です。

根津美術館の裏手にあるシンプルなこの家にカニングハムは47歳から101歳で他界するまで暮らしました。

現在も、このカニングハム・メモリアル・ハウスにて年に何回かコンサートが行われており、申し込めば誰でも鑑賞できるようなので、機会があれば行ってみたいと思っています。

レーモンドメモリアルルーム

笄町にあった自邸は現存しませんが、現在代々木に移転したレーモンド設計事務所内に当時のリビングルームがメモリアルルームとして、移築・保管されています。

ここは月に1回公開しているようなので、こちらも機会があれば是非足を運んでみたいと思っています。

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