同時代としてのアート 森美術館

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六本木ヒルズ53階のMAM(Mori Art Museum)、森美術館は所蔵作品を持たず現代アートをメインとする企画展を中心に運営されている美術館です。

六本木やその周辺には多くの現代アートのギャラリー(complex665やピラミデビル)が軒を連ねていますがその中でも大御所になります。もともと森ビルとしては開発した施設の国際性や同時代性を象徴し文化を発信する施設として美術館を考えていたそうで、それ故に扱う作品も現代の同時代を生きるものが多くなっているのですね。

六本木ヒルズ森タワーの展望台、Tokyo City Viewへの 入場券は森美術館の入場券も兼ねているので、展望台へ登ったついでにいつでも今の時代を反映した現代アートに触れることができるとも言えるでしょう。

今は「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」という展覧会を国立新美術館との2館共催で開催中です。1980年代から現在までの東南アジア、ASEAN諸国の作家たちの作品が集まりとにかく大量の作品が展示されています。

今回はこのサンシャワー展についても紹介したいと思います。

入口近くの作品。このポジティブなメッセージが東南アジアの今をいかにも象徴しているように感じます。

これはマレーシアの作家リュウ・クンユーのフォトモンタージュ作品。印画紙にプリントされてカラー写真をモンタージュしたものですが、単に平面に並べただけでなく、立体的に工作されています。作品の大きさも含めてかなり圧倒される表現です。

これはタイの政情不安だった頃、政治的デモで実際に使われたバイク、スクーターや政治的スローガンをコラージュしたインスタレーション。

冷戦時代の東西対決の一前線としての東南アジアが、イデオロギーの時代から経済の時代に変わろうとする時代の象徴ですね。政治的、経済的、社会的に不安定な時代だからこその熱気や狂気が感じられる作品でした。

壁に埋め込まれた耳。
声高に叫ぶことより相手の言い分こそ優先すべきだという静かなメッセージ。
ありがちな表現かもしれませんが、そのようなメッセージが有効な場所、時代は常に存在しています。

逆にこれはある家族を描いた一見、非常にパーソナルな作品。しかし時代に翻弄された家族ということでこれまた政治的なメッセージも感じられる作品でした。
また、プロジェクターによる投影と実際の写真を組み合わせた斬新さも感じられる素晴らしい作品でもあります。

フィリピンのフェリクス・バコロールによる風鈴と扇風機を使ったインスタレーション。

東南アジアの「天気雨」= サンシャワーをイメージさせる、今回の展覧会の名刺代わりとも言える作品です。

この展覧会は10月23日まで開催されていますので、夏休みなど機会があればぜひ足を運んでみたいですね。

サンシャワー展の前はインドの作家N・S・ハルシャ展が開催されていました。
これはその時の「ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ」
森美術館は火曜日以外は午後10時まで開館しているので仕事帰りあるいは六本木ヒルズでの夕食の後でもゆっくり鑑賞できるのが良いですね。

また、展望台、森美術館と合わせて屋上のスカイデッキまで登ってみるのも良いアイディアです。天気が良ければスカイツリーから富士山まで、近くには東京タワーやレインボウブリッジなど、東京南部の名所をほぼ見ることができます。

屋上から見る夜景や星空も良いのですが、意外なおススメ時間帯として「土曜日の午前中」を推しておきます。
この写真のように人っ子一人いなくて警備員さんも手持ち無沙汰な光景をしばしば見かけます。屋上を独り占めですよ!

森美術館の入場はTokyo City Viewとセットで1,800円です。
年に2回以上は行くという方には年6,000円の年間パスポートがお得です。このパスポートがあれば、1年間City Viewとスカイデッキそれと森美術館に入り放題になります。また窓口で並んで入場券を買う必要がなくスムーズに入場できます。
勤め先がヒルズの人には不要ですが、そうでなければ年間パスポートを検討するのが良いでしょう。
(なお、森アーツセンターギャラリーは年間パスポートの対象外です)

定休日:なし
営業時間:10:00 – 22:00 (火曜日は17:00まで)
入場料金:1,800円(Tokyo City View共通)

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