高台に並び建つ聖オルバン教会と聖アンデレ教会

東京タワーの麓、飯倉交差点近くの高台に並ぶ2つの教会「聖オルバン教会」と「聖アンデレ教会」をご存知でしょうか。どちらも英国国教会を祖とする日本聖公会の教会です。

しかし、なぜここに2つの教会が並んでいるのでしょうか?

東京タワー側の聖オルバン教会
飯倉交差点側の聖アンデレ教会

2つの教会の歴史

まず、向かって左側の聖アンデレ教会は、1879年にイギリス海外福音伝道会の宣教師アレクサンダー・クロフト・ショーが、福沢諭吉の援助を受け、芝公園に最初の教会を建てたことに始まりました。
(避暑地としての軽井沢を広め、旧軽の ”軽井沢ショー記念礼拝堂” でも有名なあのアレクサンダー・クロフト・ショーです)

当初、礼拝堂は英国人会衆とシェアしていましたが1952年、英国聖公会から「敷地内に英語礼拝のための聖堂を建てたい」という申し入れがあり、新たな礼拝堂を建設することになります。

1956年にアントニン・レーモンドの設計による木造のシンプルな礼拝堂が完成。これが右側の聖オルバン教会です。こうして1956年からこの地に2つの教会が並んで建っているのです。


聖アンデレ教会

現在の聖堂は1996年に彩の国さいたま劇場などの設計を担当した香山壽夫の設計で建てられたものです。

この教会は、大きな丸窓が印象的で、また隣のオルバン教会に比べると重厚でモダンな建築です。

礼拝中で中の写真は撮れなかったのですが、こちらの教会はキリスト像が宙に浮いてるような設えになっており、真っ白な教会内部にキリストが空を飛んでいるような神秘的な空間です。

聖アンデレ教会の後方には長島孝一設計のアンデレホールがあります。
長島孝一は竹中工務店時代より槇文彦の下で働き、槇総合計画事務所でも長いこと所員として槇文彦を支えてきた人です。

このホールが内部も外観もとってもモダンで素敵でした。コンクリートと木の調和が、時を経てどんどん馴染んでくるという飽きのこないデザインです。

アンデレホールのテラス

聖オルバン教会

聖オルバン教会は聖公会では東京教区で唯一、牧師は英語を母国語とし礼拝はすべて英語で行なわれます。

ここでは1879年から聖アンデレ教会を共用しながら英語によるキリスト教礼拝が行われ、戦後1956年に建築家、アントニン・レーモンドの設計により現在の礼拝堂が建築されました。

アントニン・レーモンドはフランク・ロイド・ライトの元でも働いたチェコ系アメリカ人で、1919年に帝国ホテル設計施工の助手としてライトと共に来日しました。

そして、1922年にライトより独立し、日本でレーモンド設計事務所を開設します。
このレーモンド設計事務所では、世田谷区役所や東京文化会館の設計をした前川國男や愛知県立芸術大学の設計をした吉村順三などが働いていました。後に前川國男と吉村順三は坂倉準三と共同設計で国際文化会館を設計しています。

アントニン・レーモンドは多くの教会を設計していますが、東京でレーモンド設計の教会を見られるのは、聖アンセルモ教会(カトリック目黒教会)、聖パトリック教会(カトリック豊島教会)とこの聖オルバン教会の3つです。

先に挙げたレーモンド建築の2つの教会に比べると、聖オルバン教会は、小規模で非常に素朴な作りになっています。

レーモンド設計の教会で、唯一戦前の建物である聖パウロ教会(軽井沢)に近い雰囲気です。

レンガの上に木という構成ですが、しかも木はベニヤのような簡素なものです。
どうやら予算の関係でこのような作りのようです。もしかしたら全部レンガ作りにしたかったのかもしれませんが、この2トーンがいい感じに山小屋風に仕上がっていて、大都会の真ん中のしかも東京タワーの真下にあるその立地とのコントラストが面白い教会です。


結婚式について

聖アンデレ教会、聖オルバン教会ともに信徒でない一般の方の結婚式も執り行っています。
ただし、司祭の結婚講座を事前に4回受講する必要がありますし、聖オルバン教会の方は牧師さんが日本語を話せないといった条件があります。

なお、両教会の結婚式の受付、問い合わせは聖オルバン教会で行なっています。

聖アンデレ教会
港区芝公園 3-6-18

聖オルバン教会
港区芝公園 3-6-25


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