表参道ヒルズや代官山アドレスにあった同潤会アパートを覚えていますか? 渋谷区郷土博物館で「同潤会アパートと渋谷」展を開催中

同潤会アパート

渋谷の「白根記念渋谷区郷土博物館」で同潤会の青山アパートと代官山アパートの資料などを展示する「同潤会アパートと澁谷」展という非常に興味深い展覧会が開催されています。

同潤会アパートと言われてもピンとこない人も多くなりつつありますが、戦前に今の表参道ヒルズや代官山アドレスの場所に建設された集合住宅です。

▲同潤会アパートは100年前(1923年)の関東大震災復興のために設立された財団法人同潤会(どうじゅんかい)が建設した、日本最古のRC造りの公共集合住宅。昭和初期に竣工した住宅ですが電気水道都市ガスというインフラ完備、トイレも水洗というモダンな作りで都市に住む人たちにとっては憧れの住宅。日本の近代建築20選にも選出されている歴史的な建築でした。

今は再開発されて表参道ヒルズ、代官山アドレスという超近代的な建物に変わっていて、面影というと表参道ヒルズの同潤館くらいしか残っていません。

関東大震災から100年ということもあり、震災をきっかけに建設された同潤会アパートを当時の資料や遺された部材からその魅力を探ろうという展覧会です。

スポンサーリンク

白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

渋谷区郷土博物館・文学館は國學院大學にも近い渋谷の住宅街に建つ博物館。

▲50年ほどに前に地元の白根氏から寄贈された土地に開設された博物館です。

渋谷区の歴史を有史以前から現代まで豊富な資料を使って紹介する常設展示、渋谷ゆかりの文学者たちの資料を常設展示する文学館からなる施設です。

そして今回の「同潤会アパートと澁谷」展のような企画展を年に何回か開催しています。

▲原則として館内は撮影禁止。企画展もほとんどの場合は撮影禁止ですが、今回の展覧会だけは一部だけ撮影可能でした。

入り口ロビーには渋谷のシンボル、ハチ公の像がお出迎え。バックはハチ公が通っていた当時の渋谷駅の写真です。ここだけは来館の記念撮影用として撮影可能になっています。

「同潤会アパートと澁谷」展

展覧会は同潤会アパートの背景となる1923年(大正12年)の関東大震災から始まります。

その大震災からの復興を目指し全国からの義捐金をもとに設立されたのが同潤会。そして地震に強い鉄筋コンクリート構造の集合住宅を東京と横浜に建設していきます。

その中に表参道の青山アパートと代官山の代官山アパートがありました。代官山アパートが解体されたのは1996年、青山アパートが解体されたのは2003年と比較的最近。どちらも70年以上現役の住宅として利用されていたのです。

ちなみに当時としては新しい鉄筋コンクリート造の「内田ゴシック」とも呼ばれる建築パターンで有名な内田祥三(うちだ・よしかず)とその門下生たちです。今は白金台の「港区郷土歴史博物館」になっている旧公衆衛生院を設計したことでもおなじみですね。

▲これは写真撮影可能な青山アパートの階段柱。建築当時のものです。

これ以外にも館内の照明器具、備品など当時を知る貴重な資料が展示されています。

青山アパートは各階に共同湯があり、その代わり部屋にはお風呂はありません。

▲実際に同潤会アパートで使用されていた扉。(ここも撮影可能)

右の二つは青山アパートの玄関扉。

左端は代官山アパートの食堂内階段の扉、左から2つ目は代官山の玄関扉です。

代官山アパートは施設内に食堂があったり、お風呂は大きな「文化湯」という共同風呂があったそうで、青山アパートはかなり作りが異なっていたようです。また文化湯にの更衣室にはジム、モガという名前の美容院、質屋の看板などが掲出されていたようです、そうした当時の都市部の世相を知ることができる資料も展示されています。

トイレは大が1器だけの通称「汽車式」トイレ。しかも照明がなかったようですが、当時としては珍しい水洗式。日本の近代住宅の見本となるような造作だったようです。

また青山アパートは植栽があり外から中が見えないようになったりしています。建設当時、隣に住んでいた陸軍中将の長岡外史が「天皇陛下が通る表参道に洗濯物がぶら下がっていたりするのはけしからん」となど様々な注文を付けたので当初設計が見直され、結果的にそれが良かったようです。

スポンサーリンク

代官山アパートの内部(再現)

渋谷区郷土博物館の2階には渋谷区の歴史を辿る常設展示が行われていますが、そこにも代官山アパートの室内が再現されています

▲2階の展示室も写真撮影は禁止ですがこの部屋は以前からも撮影可能でした。

この「文化住宅」というのが代官山アパートのことです。

畳敷きですが床にコルクを敷き詰めた上に、さらに畳を敷いています。居住者の好みやライフスタイルによって和風にも洋風にも使えるようにという配慮です。

▲この部屋はたぶん単身者用。戦前の都市生活をおくるインテリたちの住まいですね。

▲片隅には台所。

水道完備、都市ガスを使ったコンロも見えます

▲玄関には帽子掛けも。当時の男性は帽子を被るのが普通でしたからね。

1階の「同潤会アパートと澁谷」展を見てから2階のこの部屋を見ると、どのような人たちがどのように暮らしていたのか伺い知れて興味深いです。

それほど大きな展覧会ではないですし渋谷区郷土博物館もマイナーな場所ですが、同潤会アパートを通じて関東大震災後の復興する東京とそこに住む人々の暮らしぶりが分かる展覧会です。

なかなか見ることのできない同潤会アパートの実際の部材も見られますし、建築ファンにも見逃せない展覧会ではないでしょうか。

会期は2023年3月26日まで。

渋谷区郷土博物館の場所とアクセス

渋谷区郷土博物館は東4丁目。どの駅からも遠いのですがやはり最寄駅は渋谷駅。
明治通りを恵比寿方面に歩いて「東交番前」の交差点を左折し國學院大學も過ぎた先にあります。

渋谷駅から徒歩15分くらいです。

でもおすすめは渋谷駅から日赤医療センター行きの「学03」の都営バスで「国学院大学前」で下車。学03は日赤行きなので本数も多いですし、バスを降りれば徒歩2分です。

國學院大學博物館

今は箱根駅伝でも有名になってきた国学院大学。

ここの博物館は入場無料ですし週末も開いているので渋谷区郷土博物館と併せて見学するのにピッタリです。

▲「国学院大学前」で降りた信号の角が「國學院大學博物館」です。

企画展も行っていますし、さすが国学の拠点でもある国学院らしい日本の歴史を辿れる考古ゾーンの展示が圧巻です。

▲ここから渋谷区郷土博物館まで徒歩1分。時間があればこちの博物館もどうぞ。

スポンサーリンク

表参道ヒルズ 同潤館

渋谷区郷土博物館で同潤会アパートの資料や部材を見て、当時の代官山アパートの室内を見学したら、次は同潤会 青山アパートの外観を見てみましょう。

当時の建物は遺っていませんが、表参道ヒルズに忠実に再現された青山アパート「同潤館」があるのです。

渋谷区郷土博物館からは常陸宮邸の先にある青山高樹町からちぃバスに乗って、表参道で降りれば表参道ヒルズはすぐそこです。

▲安藤忠雄設計の表参道ヒルズの東端に建つこの建物はかつての青山アパートを再現したものです。

内部は住宅ではなくて商業施設になっていますが、在りし日の青山アパートの姿がよく分かると思います。

▲外壁を蔦が這う様子も在りし日の青山アパートそのまんま。

しかも、同潤会アパートの頃と同じテナントがいくつか、今も入居しています。

違いといえば入り口にかかるOMOTESANDO HILLSの名前だけかもしれません。

▲裏に回るとさらによく分かります。

「同潤会アパートと澁谷」展で解説されていた窓の作りなども、実物はこうなっているのだと理解できます。

いつもは表参道ヒルズの横に建つ昔風の建物くらいにしか思っていなくても、展覧会を見た後だとまた新鮮です。展覧会と併せて同潤館も見学したいですね。

▲表参道ヒルズの端にこうして歴史と記憶が再現されているのは嬉しいですね。よくぞ再現してくれたと感謝です。

かつて、といっても20年も経っていませんが、ここに建っていた同潤会青山アパートや代官山アパートの資料がたっぷりな「同潤会アパートと澁谷」展。今に通じる日本の近代的集合住宅の先駆を知る貴重な展覧会です。

展覧会を見たら表参道まで足を伸ばしてこの同潤館もぜひ見学してみましょう

また港区には同潤会アパートよりはちょっと新しい昭和11年(1936年)に建設された「和朗フラット」というヴィンテージマンションがあり、そこは今も現役でマンションとして使用されています。和朗フラットとそこに入るカフェの訪問記はこちらです。

同潤会アパートと渋谷 基本情報

名称 同潤会アパートと澁谷
会場 白根記念渋谷区郷土博物館
会期 2023年1月21日(土) 〜 3月26日(日)
月曜休館
入館料 一般 100円、小中学生 50円
予約 不要
撮影 撮影不可(指定箇所のみ撮影可)

渋谷区郷土博物館 基本情報

名称 白根記念渋谷区郷土博物館
住所 渋谷区東4-9-1
最寄駅 渋谷駅
開館 11:00 〜 17:00 (土曜日は9:00開館)
休館日 月曜日
入館料 一般 100円、小中学生 50円
予約 不要

表参道ヒルズ 基本情報

名称 表参道ヒルズ
住所 渋谷区神宮前 4-12-10
最寄駅 表参道駅
時間 11:00〜21:00 (日曜日は20:00まで)
レストランは 23:00まで (日曜日は22:00まで)
開業 2006年

代官山アドレス 基本情報

名称 代官山アドレス
住所 渋谷区代官山町 17-6
最寄駅 代官山駅
開業 2000年


スポンサーリンク

記事の評価
スポンサーリンク


コメントを残す

こんな記事も