フランツ・カフカ没後100年。チェコセンター東京のフランツ・カフカ展とシュウゴアーツの森村泰昌が演ずるカフカを見よう

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フランツ・カフカ没後100年

2024年は実存主義文学、シュールレアリスムの先駆者として日本でも高いチェコの小説家フランツ・カフカ(Franz Kafka)の没後100年。

亡くなって100年経つのに今なお文学にとどまらず様々な分野で影響力を持つ作家の没後100年ということで、あちこちで記念の催しなどが行われているようです

▲良く知られるカフカの写真(本当はこれは森村泰昌が扮しています)。

あまりに有名な「変身」、そして「審判」や「城」など不条理で陰鬱な世界観を持つ作品が多いのと遺された肖像写真などから、東欧の根暗なユダヤ人男性作家というイメージが根付いているカフカに関する展覧会を2つ紹介します。

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森村泰昌 《楽しい五重人格》 

まずは六本木の現代アートのギャラリー「シュウゴアーツ」で開催されている森村泰昌の《楽しい五重人格》展。

世界の誰もが知る名画、有名人などの扮したセルフポートレートで世界と対峙する作品で知られる森村泰昌が5人の人物に扮したセルフポートレート作品が展示されています。

▲《楽しい五重人格展》で大きく取り上げられているのがフランツ・カフカです。

この写真の左は死の少し前に撮られた有名な肖像写真。右側は「少年カフカ」というタイトルで、裕福なユダヤ人家庭に育った少年時代のカフカ(に森村泰昌が扮している)です。

他にも「カフカがいる風景」という連作も展示されています。

制作自体はどれも少し古いものですが没後100年ということで今年の個展に出しているのだと思います。

▲カフカの他にはダヴィッドの「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」と「ミロの絵画」(右)。

抽象画内の人物に扮するのはすごいですね

▲残り二人は魯迅の肖像に扮した連作(右)と日本画家、甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)の「島原の女(京の女)」をモチーフにした「甲斐庄幻想」という作品です

妖しく退廃的で伝統的な世界に生きる甲斐庄楠音の女性と向き合うように展示されているのは近代世界に憧れた魯迅という点でもう意図的なレイアウトなんだねと分かります。

▲カフカをモチーフにした作品が一番多いのですが他の作品もいつもの森村泰昌で、楽しくもありつつ彼が演じることの意味を考えながら鑑賞したい《楽しい五重人格》展です

六本木で森村泰昌のカフカを見たら次は広尾のチェコセンター東京へ!
出身国であるチェコ大使館隣接のチェコセンター東京でもカフカの展覧会が開催されているのです。

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《フランツ・カフカ 時代の子であり、現代の人》

チェコセンター東京で開催されているのは《フランツ・カフカ 時代の子であり、現代の人》展。

100年以上にわたり世界に影響を与え続けていカフカが生きた時代、彼の人生などをチェコの作家ラデック・マリーと挿絵家レナータ・フチーコヴァーによるパネルで紹介するという展覧会です。

▲パネルはモノクロでカフカを彷彿させるイラストとぎっしり書き込まれたテキスト。

パネルの枚数はそれほど多くはありませんが、様々なエピソードや時代背景、そして東欧のユダヤ人社会の様子などが解説され、これだけで本一冊分はありそうです。

▲朝目覚めたら巨大な害虫になっていたセールスマン、グレゴール・ザムザの物語「変身」

日本でというより世界の誰もが知るカフカの代表作です。

▲カフカのパブリックイメージそのままなイラスト。

そこに描かれている街や家も暗く陰湿な世界として描かれています。

でも、初めて知りましたがカフカの女性関係は多様で複雑なんですね。もし今の時代に生きていたら女性スキャンダルまみれな作家と言われたかもしれません。

▲チェコセンター東京の地下にある展示室はさほど広いものではありませんが、壁一面のパネルは圧巻。

挿絵イラストを見て、テキストを読んでとやっていると1時間弱かかります。

タブレットを使ったカフカをテーマにした不条理ゲーム、それとチェコの現代アーティストであるヤクブ・マトゥシュカ aka Maskerによるカフカをイメージしたアート原画の展示もあるので、小規模ですけど1時間はみておきたいです。

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チェコセンター東京

チェコセンター東京は広尾のチェコ大使館に併設されています。

▲これは日赤通り沿いにあるチェコ共和国大使館の入り口。

チェコ大使館の建物はチェコ出身の建築家で麻布笄町に自宅があったアントニン・レーモンドが始めた「レーモンド設計事務所」によるもの。詳しくはこちらの記事をどうぞ。

▲チェコセンターにはチェコに関する書籍や資料も揃っていますし、セルフサービスでコーヒーを飲んだりすることもできます。

また中には入れませんがちょっとした日本風の庭もあります。

チェコに関心があったら一度訪れてみるのも良いでしょうね。

入館方法

セキュリティの関係上、入館するには訪問理由を告げてロックを解除してもらう必要があります。

▲扉の取っ手がCZECH(チェコ)の頭文字 ‘C” を象っているのがオシャレなドアの脇にインターフォンがあるので、1番上のインターフォンで用件(展覧会の鑑賞)を告げるとドアのロックを解除してもらいます。

もちろん日本語で大丈夫ですし、パスポートなど身分を証明するものも不要です。

▲チェコセンター東京の大きなフラッグの横に階段があり、そこから地下の展示室へ降ります。

チェコセンターへのアクセス

広尾駅からだと広尾の商店街を進みホームワークスの角を右に曲がります。聖心女子大の南門を過ぎて道なりに進み最初の角を右に曲がります。200mほど道なりに歩くと左手にチェコ大使館があります。

それより簡単なのが日赤医療センターから。

渋谷駅あるいは恵比寿駅から日赤医療センター行きのバスに乗るか、ちいバスの青山ルート(行き先は六本木ヒルズでも赤坂見附でもかまいません)に乗って日赤医療センターで降ります。

日赤通りを広尾方面に300mほど歩くと右手にチェコ大使館です。

基本的に平日だけの開館ですが夜は19時ぎりぎりまで入館できます。

フランツ・カフカの没後100年。こんなにまとまった展示を母国の施設で鑑賞できるのでカフカが好きな方、文学に興味のある方は足を運んでみてはどうでしょうか。

また六本木のシュウゴアーツでの森村泰昌《楽しい五重人格》も併せてどうぞ。

フランツ・カフカ展 基本情報

名称 フランツ・カフカ 時代の子であり、現代の人
会場 チェコセンター東京
住所 渋谷区広尾 2-16-14
会期 2024年4月1日(月) 〜 5月20日(月) 土日祝は休館
時間 10:00 – 19:00
料金 無料
予約 不要

森村泰昌《楽しい五重人格》 基本情報

名称 森村泰昌 楽しい五重人格
会場 シュウゴアーツ
住所 港区六本木 6-5-24 complex665 2F
会期 2024年4月9日(金) 〜 6月1日(土) 日月祝は休廊
時間 11:00 – 18:00
料金 無料
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