東日本大震災の津波に耐えた「奇跡の一本松の根」展。紀尾井清堂での開催は終了

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奇跡の一本松

2011年3月11日。多くの人はあの日あの時間、自分がどこで何をしていたか憶えていると思います。

この時の津波は陸前高田市の名勝”高田松原”に七万本あった松林をも根こそぎ押し流してしまいましたが、たった一本耐え残ったのが高さ27mの「奇跡の一本松」。

その後「希望と復興の象徴」として後世に残すべく保存作業が行われ、直径13mにわたる巨大な根も掘り起こされ、陸前高田市内で保存されていました。

その「奇跡の一本松の根」が紀尾井町の倫理研究所「紀尾井清堂」で展示されていました。展覧会名は「奇跡の一本松の根」展。

「奇跡の一本松の根」展は2023年3月9日で終了しました。

▲会場に展示されている被災直後の「奇跡の一本松」の写真。

”生命”の象徴でもあり、また復興への希望の象徴として、この松の木を訪れる人が絶えることがなかったそうです。

この松の木の根はずっと陸前高田の倉庫に分割されて保管されていたのですが、なるべくオリジナルに近くなるよう復元し、都市に住む人々に生命の強さを伝えると同時に(いつか来るかもしれない)震災に思いを馳せてもらおうということで、建築家の内藤廣が ”魂をゆさぶる場所” として設計した紀尾井清堂に展示されることになりました。

東日本大震災から11年目の2022年3月11日から2023年2月9日まで、約1年にわたって展示される予定です。
(2023年3月9日まで、1ヶ月延長されました)

事前予約が必要なものの観覧料は無料ですし土曜日も開館しているので、これは多くの人に足を運んでもらいたいイベントです

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奇跡の一本松の根

会場の入口でカードホルダーを渡されるのでそれを首にかけて見学です。

見学は最大70分までで、その間は「奇跡の一本松の根」展や紀尾井清堂の2階以上のフロアは出入り自由です。

▲まずは最大で13mにも広がるこの根に圧倒されます。

高さ27mの樹木の根っこはこんなにも大きく堂々としているのですね。

▲別の角度から。

いくつかのパーツに別けて保存していたものをこの展覧会のために復元したものです。

床にプリズムを通したような虹色が見えますがこれは紀尾井清堂のちょっとしたイタズラ。ファサードのガラス面が意図せずプリズムのようになり、冬のある一定の時間だけこのような虹色を床面に映し出します。

▲根は13mですが。幹も当然太いです。直径2m以上はあるんじゃないでしょうか。

樹木というのはこんなに大きく雄大になるんですね。

とにかく紀尾井清堂に行って圧倒されてみてください。

▲向こうの壁に健在だった頃の「奇跡の一本松」の写真が見えますね。

健在だったように見えて、実は根は海水で腐って枯死する寸前だったようです。

▲紀尾井清堂の1階のほぼ全体が一本の松の根で占められています。

また紀尾井清堂は四隅の4本の柱で全体を支える構造になっていて1階はスペースが広いので、それでやっとこの大きな根を置くことができたのですね。それにしてもどうやってこの根を入れたのか。あっ、一度復元したものをまたバラして持ってきて、もう一度ここで復元したんですね。

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紀尾井清堂での展示

会場の紀尾井清堂は以前も紹介したように用途未定な建物です。

また一般社団法人の所有する建物ですし、内部の見学もほとんど行っていません。

そんな紀尾井清堂の内部を見る良い機会でもあるので、一本松の根と一緒に紀尾井清堂自体もしっかり見学したいですね。

▲1階の床や壁に貼られているのは色も形もランダムなタイルです。石州瓦を焼く時に棚板として使われていた、普通は捨ててしまう素材を再利用しているのだそうです。

床のレインボーは外のファサードのガラスのイタズラで、設計者の内藤廣が意図した訳ではないそうです。このレインボーが見られるのは、太陽が低い冬の午後の短い時間帯だけです。

このレインボーも見たいなら、冬の午後に訪問してみてください。

▲奇跡の一本松の根とレインボーと向こうには在りし日の奇跡の一本松。

そして根の周りには4本の柱があって建物の上のフロアを支えています。

この柱、地面からは四角形で生えていますが天井に行くにつれ捻れていって天井は六角形で支えています。

とても不思議な形状をしているのでこれも見てくださいね。

▲奥からも根とレインボーと柱。なんとも魂を揺さぶられるような光景です。

大木とそれを支える広大な根。その存在感が醸し出す生命力などなど。震災の遺物、モニュメントというより生命の偉大さを感じる展示です。

「奇跡の一本松の根」展

この「奇跡の一本松の根」展は2023年2月9日までと会期がたっぷりあります。

▲会場に置かれたボードに全部書かれていますね。

倫理研究所の正式なイベント情報はこちらです。

また、展覧会は事前予約制で、専用の予約サイトから申込みをします。▲展覧会の展示内容は1階の「奇跡の一本松の根」、それと2階で上映している「ホリデーにっぽん 奇跡の一本松を追って」という映像の2つだけです。

映像の方は2013年に制作・放映されたNHKのドキュメンタリーです。

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紀尾井清堂の内部

せっかく紀尾井清堂まで来たのならその内部もしっかり見学したいですね。松の根と映像だけ見て帰ってしまうのではあまりにもったいない。

麻布ガイドでは以前にも見学の様子をレポートしているのでそちらもどうぞ。

▲内部は木材が効果的に使われていて5階まで。

各階を結ぶ階段がまた劇的な効果をもたらしています。

▲どの階も回廊になっていて、あとは上下の階への階段があるだけ。

▲たんに劇的な、まさに魂を揺さぶられるような空間が拡がっているのですが、でもその用途はまだ決まっていません。

▲この空間が気に入ったら、帰りにはぜひ赤坂の「とらや 赤坂店」にも行ってみたいですね。同じ建築家の内藤廣による設計で、似たような感触の空間ですから。

そして紀尾井清堂と違って「とらや」ではお土産が買えるし、和スイーツが食べられます!

▲トップライト。

これは開閉するのですが、今回の「奇跡の一本松の根」展では開きっぱなしです。

紀尾井清堂の見学会では、外階段を開放して体験することができますし、このトップライトが開閉する様子も実演してくれるのですが、今回の展覧会では外階段の開放もトップライトの開閉もありません。

それらを見学したい場合は次の見学会を待ちましょう。内部の見学会は不定期に開催されているので内藤廣事務所のサイトなどを定期的にチェックされると良いでしょう。

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紀尾井清堂の場所と行き方

赤坂見附から新宿通りへ抜ける紀尾井町通り。その紀尾井坂とのT字交差点角が紀尾井清堂です。

向かいは「AUDI(アウディ)」。”六本木のポルシェ” で親しまれていた飯倉片町の角地にあったAudiが移ってきています。

▲赤坂見附の駅から徒歩5分ちょっと。

逆に麹町の駅から紀尾井坂を下ってくれば徒歩5分くらい。そちらの方が近いと思います。

▲とにかく近くまで来れば、この全面ガラスに覆われた四角い建物が否応なしに目に留まると思います。

陸前高田の「奇跡の一本松」のストーリー自体も感動的なものですが、その「奇跡の一本松の根」もまたその存在感に圧倒され、”生命” について考えさせられるものでした。

会期も長いですし多くの人に見てもらいたい展覧会です。

「奇跡の一本松の根」展 基本情報

行事名 「奇跡の一本松の根」
会場 倫理研究所 紀尾井清堂
展示期間 2022年3月11日(金) 〜 2023年3月9日
開館日 火・木・土曜日
開館時間 10:00 〜 16:00
観覧料 無料
予約方法 事前予約制

 

紀尾井清堂 基本情報

施設名 紀尾井清堂
住所 千代田区紀尾井町 3-1
最寄駅 赤坂見附駅、麹町駅

 

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