渋谷区立松濤美術館
都内にはいくつか区立美術館がありますが世田谷区立美術館と並ぶ区立美術館の両巨頭と勝手に考えている今年で開館40年になる渋谷区立松濤美術館を紹介します。
広尾の山種美術館は日本画専門、松濤というもう一方の高級住宅地に構える松濤美術館はというと小規模だけどユニークな視点からの企画展が多く独自の路線を歩んでいます。区立なので区内の小学生の展覧会のようなものもありますが。
異端の建築家と呼ばれた白井晟一(しらいせいいち)の最晩年の作品です。
白井晟一というと麻布ガイドではおなじみの、飯倉の交差点の角に建つノアビルの設計者としても有名です。
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松濤美術館の建物
松濤という土地柄を考慮して、周囲に溶け込みあまり目立たないよう配慮した設計だそうです。
▲石造りの建物。
▲正面から見ると入り口のアーチが目立ちます。
ヨーロッパというより中近東辺りの古い建物を彷彿させるような外観です。
アーチやレンガの外壁、円形のホールなどに松濤美術館との共通点が見られます。
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松濤美術館のみどころ
松濤美術館の展示室内は多くの場合は撮影禁止です。
撮影OKだった展覧会から選んで写真で紹介します。
展示室は地下1階と地上2階の2フロアで開催されることが多く、普通はエレベーターで移動します。
でも螺旋階段で移動することもできます。この階段が素晴らしい。▲こちらは地下1階から上を眺めたところです。
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吹き抜けと噴水
階段と同じくらいの見どころが建物中央部の吹き抜けと噴水です。
▲建物の中央部は吹き抜けになっていて、両サイドをブリッジが結んでいます。
▲地下2階から地上2階まで全部を使った吹き抜け。そしてその底部は噴水になっています。
なんとも贅沢な作りです。
▲なお、今はブリッジは通行できないようになっています。
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建物の内部
建物内部の撮影OKだったエリアを紹介します。
床と壁は花崗岩、天井は両面ガラスを使った光る天井。
公立の美術館とは思えない贅沢な造りですが、渋谷区はこの建物を単なる ”入れ物” ではなく作品だと考え予算にOKを出したそうです。
▲展示室内は大きな楕円形になっています。
(この展覧会の時は撮影OKでした)
▲廊下部分も直線と曲線が使われしっかりデザインされています。
このように白井晟一の建物だけでも十分楽しめてしまいます。
今年2021年は1981年の開館から40周年になるので、それを記念して2021年10月から2022年1月30日までの会議で「白井晟一 入門」という展覧会が開催されます。
▲まとまった資料も少なく研究も進んでいない白井晟一の謎に迫った重要な展覧会です。また白井晟一が意図した松濤美術館の姿をできるだけ再現しようという企画(2022年1月4日から)もあり、見逃せません。
松濤美術館の建築に興味を持たれた方はぜひ足を運んでみましょう。
このような探究型の企画展の他に、最近では20世紀最高の画家の一人フランシス・ベーコンの日本初公開の展覧会が開催されたり、ユニークでピリッとした企画があるので目を離せない美術館です。
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松濤美術館の場所と周辺のアート
松濤なので最寄り駅でいえば京王井の頭線の神泉駅になります。
入り組んだ住宅街の中を通ることになりますが、案内が充実しているので迷うことはないと思います。神泉駅から徒歩5分です。
▲もうじきなくなる東急本店の横から ”松濤文化村ストリート” を500mほど歩くのが一番わかり易いでしょう。
また美術館に駐車場はありませんが周辺にはいくつもパーキングがあるのでクルマでも大丈夫です。
あと隈研吾が設計したトイレがある「鍋島松濤公園」もすぐ近くです。
松濤美術館を出たら松濤文化村ストリートとは反対側に歩いて最初の角を右へ曲がります。次の交差点のところが鍋島松濤公園です。徒歩100mくらいです。
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松濤美術館を出て松濤文化村ストリートとは反対側にまっすぐ200mほど進めば視覚障害者向けの ”触れるアート” をコンセプトにした「ギャラリーTOM」があります。
松濤美術館で白井晟一と企画展、隈研吾のトイレを見学(利用)してからギャラリーTOMへ。他ではあまり類を見ないアート体験ができるのも松濤エリアならではですね。
渋谷区立松濤美術館 基本情報
施設名 | 渋谷区立松濤美術館 |
住所 | 渋谷区松濤 2-14-14 |
最寄駅 | 井の頭線神泉駅、渋谷駅 |
休館日 | 月曜日 |
開館時間 | 10:00 – 18:00 |
入館料 | 展覧会による。金曜日は渋谷区民無料 |