六本木ヒルズには様々なパブリックアートが設置されています。
そう言われてまず頭に浮かぶのは巨大な雲の彫刻ルイーズ・ブルジョアの「ママン」でしょう。
六本木ヒルズでの待ち合わせ場所の目印としても機能している「ママン」、今や六本木ヒルズだけなく六本木の街のシンボリックな存在になっています。
しかし、六本木ヒルズにはこのママン以外にいろんなアートがあるのです。
ストリートファニチャー
アートと書きましたが、けやき坂の作品に関して森ビルの公式な呼称は「ストリートファニチャー」です。このけやき坂のストリートファニチャーにスポットを当ててレポートします。
けやき坂の坂下からスタート
最初に目につくのが、スターバックスの前のこのアートです。
「エバーグリーン?」 ロン・アラッド
2003年/本体:ブロンズパイプ、脚部:スチールパイプ、ブロンズ板貼
1.48 x 6.04 x 2.71(h)m
え?これアートだったの?という方も多いでしょう。何度もここを通ってるけど気づかなかったという方も。
当初はスチールパイプがよく見えていたのですが、今はアイビーが成長して蔦の塊のようになっています。このようにアイビーの成長と共に時間を経て変化していく作品です。
そして、この作品の向かい側には宮島達夫の「カウンター・ヴォイド」が点灯しておりました。が!現在は消えています。
「カウンター・ヴォイド」宮島達男
2003年/ネオン管、ガラス、IC、アルミニウム、電線等
1ユニットの文字:3.2 x 2.2 m x 6文字
この作品は2018年3月11日に最後の再点灯をしました。そして、再び点灯する日は来るのでしょうか。
この作品と再点灯についてはこのブログでもレポートしていますので是非読んでみてください。
そして、そのカウンターヴォイドの前にある透明のガラスの椅子もアートです。
「雨に消える椅子」吉岡徳仁
2003年/本体:ガラス、椅子脚部:ステンレス鏡面磨き、床:御影石バーナー仕上
椅子:0.75 x 0.98 x 0.99(h) x 0.41(sh)、塊:0.5 x0. 98 x 0.55(h)m、
床:1.68 x 5.95m
この作品の作家である吉岡徳仁は京都にガラスの茶室を作ったのが有名ですね。元々はデザイナーでしたが、最近はアーティストとしても活動しているようです。
波紋 伊東豊雄
2003年/座:クラッド鋼(削り出し加工)、無方向バフ、セラミック塗装、脚部:コンクリート 0.9 x 3.8 x 0.43(h)m
そしてさらに坂を登っていくと何やら水玉模様の少し低めの板のような作品があります。
これは建築家伊東豊雄の作品「波紋」です。伊東豊雄はザハ・ハディドの国立競技場に対して、既存の競技場を再利用する案を提案して注目を浴びました。
伊藤豊雄作品の目の前はルイ・ヴィトンのショップです。
ここはウィンドウディスプレイだけでなく、ファサード全体でシーズンのテーマを掲げるのでいつも目を引く場所です。
今季は新メンズ アーティスティック・ディレクター ヴァージル・アブローによるファーストコレクションということで、原宿に期間限定のポップアップストアがオープンしました。
六本木の店舗も「オズの魔法使い」からインスピレーションを得たというコレクションをイメージした原宿のポップアップストアのデザインを踏襲したディスプレイとなっています。
ちょっと脱線しました。けやき坂のストリートファニチャーに戻ります。
「アーチ」 アンドレア・ブランジ
2003年/コンクリート、セラミック塗装
0.5 x 6.0 x 3.0(h)m
アンドレア・ブランジはエットレ・ソットサスらと共にメンフィスというデザイナー集団に属していたデザイナーです。車と比較すればお分かりかと思いますが、ストリートファニチャーの中ではサイズの大きい作品です。
「愛だけを・・・」内田繁
2003年/ステンレス、セラミック塗装
0.45 x 6.0 x 0.95(h)m
ジャズの名曲をタイトルに持つ赤いリボンのようなベンチは、重力を取り除きたいと考えデザインした作品です。非常に軽やかなストリートファニチャーですね。
内田繁はインテリアデザイナーとして数々の空間、家具を世に送り出してきましたが、残念ながら2016年に亡くなりました。
「パークベンチ」 ジャスパー・モリスン
2003年/脚部・肘:ステンレス、背・座:桧
0.44 x 8.58 x 0.75(h)m
家具や食器などを多く手がけるロンドン出身のデザイナーです。
私はジャスパー・モリソンデザインのJINSのメガネを持っています。他に無印良品のステンレスケトルやステンレス鍋のデザインなど日本でも非常に活躍しているデザイナーです。
デイ・トリッパー
ドゥル-グ・デザイン/ヨルゲン・ベイとクリスチャン・オッペワル&シルヴァン v.d. ヴェルデン
2003年/ポリウレタン成形FRP、ポリエステル塗装、シルクスクリーンプリント
日中人々が様々にとるポーズの研究に基づき、7種類のポーズと、テーブルや椅子といった家具が一体となっています。
このピンク地に白の花柄はヨーロッパの尺度と文化を濃縮し強調するためです。
色が目を引くので子供が大喜びで遊んでいるのをよく見かけます。
デザイナーとのコラボ
このけやき坂のストリートファニチャーは、デザイナーとのコラボレーションから生み出された世界初の試み”ストリートスケープ” 計画です。
以前は、ここで紹介した作品の他に日比野克彦、カリム・ラシッド、トーマス・サンデルの作品もけやき坂にあったのですが、いつの間にかなくなっています。撤去されたのがいつ頃で、何故なのか調べてみましたがわかりませんでした。
さて、夜のイルミネーションも美しいのですが、晴天の日中足元のアートを鑑賞しながらけやき坂を散歩をしてみるのはいかがでしょう?
けやき坂
港区六本木6丁目11−1六本木ヒルズ