ノグチルームも特別公開する慶応三田の展覧会|「我に触れよ(Tangite me):コロナ時代に修復を考える」

「我に触れよ(Tangite me):コロナ時代に修復を考える」

慶応大学三田キャンパスで「「我に触れよ(Tangite me):コロナ時代に修復を考える」という展覧会を開催中です。

この展覧会の目玉はいくつかあって、最大の目玉は通常は一般公開していない「ノグチルーム」を特別公開すること。

それと三田キャンパス内各所に点在する作品を公式に公開していることです。まっ普通にキャンパス内を歩いていれば普通に鑑賞できるものばかりですが、この展覧会中は大学も公式に認めているということで。

▲三田キャンパス南館に移設されたノグチルーム。建物の設計は建築家の谷口吉郎、そのうちの談話室をイサム・ノグチが制作したものです。


ノグチルーム

このノグチルームは通常は一般にはその内部を公開していません。

建物自体を見ることはできますし、内部を覗くこともできますが。(詳細はこちら)。

▲上の写真はあくまでイメージです。東京都美術館で開催されたイサムノグチ展に展示されていたイサムノグチデザインの椅子です。

ノグチルームの内部はイサム・ノグチらしい美意識で統一されたもので、それが今回は特別公開されています。内装及び家具のデザインは全てイサムノグチです。

特に目を惹くのは彫刻作品さながらの暖炉です。あのデザインは普通の人では出てこない形です。他にも椅子やテーブル照明に至るまでノグチらしさ全開のまさしくノグチルームです。

予約不要、入場料無料ですが2021年11月6日までの短い期間です。

内部の写真撮影は可能ですがブログやSNSなどでの公開はNGです。

▲ノグチルームは三田キャンパスの南館3階です。

ただし学生・教職員以外はエレベータは使わず外側の階段を登ってくださいとのことです。

あとこれ重要です。慶應義塾大学アート・スペースは「我に触れよ(Tangite me)」展の ”南会場” となっていて、そこではノグチルームやイサム・ノグチの作品の修復の様子、移設前のノグチルームの写真などが展示されています。

先にそちらを見学してからノグチルームへ向かうことをお勧めします。
(アート・スペース内の様子は撮影OKなのですが、ブログやSNSでの公開はNGとなっています)


イサム・ノグチ作品

この南館にはイサム・ノグチの作品が3点あります。彼の父親が慶応で教鞭をとっていた関係で、慶應のために彫刻を制作し三田キャンパスに設置したのだそうです。

▲ノグチルームの眼の前にある「無」。

これまでは作品があるなぁと思っていただけだったのですが、ノグチルームの中からだとこの作品と庭園が借景になるよう配置されているのですね。

特別公開でノグチルーム内に入ることができたからこその発見でした。

▲南館の1階には「若い人」という作品。

▲こちらは南館出入り口のところの「学生」。終戦後間もない時期に制作されたロマンチックな作品たちですね。

▲この2つの作品は南館1階ロビー、お互いが見える位置に設置されています。


猪熊弦一郎の「デモクラシー」

イサム・ノグチの世界の次は隣に西校舎で猪熊弦一郎を見てみましょう。

▲といっても生協の食堂の壁画なんですけどね。

こちらも1949年という戦争の記憶も生々しい時期の「デモクラシー」という作品です。

▲食堂のあっち側とこっち側の壁に向かうように描かれた2枚で一組の作品です。

▲こちらはKeMCoで上映中の猪熊弦一郎「デモクラシー」を修復した際の記録映像。

我に触れよ展(KeMCo/KUAC 慶應義塾大学)

▲キャプション付きで丁寧に見ることもできます。

さらに何枚もの板材が使われているこの作品の、実物大の板を間近に鑑賞することができます


東会場 – KeMCo

「我に触れよ(Tangite me)」はアート・スペースが南会場、KeMCoが東会場と別れて開催されています。

我に触れよ展(KeMCo/KUAC 慶應義塾大学)

▲南会場は撮影OK 公開NGでしたが、東会場は原則撮影OK 公開OKです。Creative Commonsですからね

我に触れよ展(KeMCo/KUAC 慶應義塾大学)

▲図書館旧館にある北村四海の「手古奈」という作品の修復記録。

戦争で傷ついた作品をどう修復するか。空襲によるダメージも ”記録” としてあえて修復しないという判断をした作品です。


大山エンリコイサム

今や慶応を代表する現代アーティストの大山エンリコイサム。

我に触れよ展(KeMCo/KUAC 慶應義塾大学)

▲これ、なんだと思います?

慶應志木高校のブロック塀に描かれた高校生時代の大山エンリコイサムの作品です。

今でこそ ”作品” ですがこれが描かれた2003年当時は単なる落書きですよね。ブロック塀が古くなって取り壊そうかという時に、”これ描いた大山エンリコイサムって今は結構有名なんじゃない?” となって保存することになったみたいです

我に触れよ展(KeMCo/KUAC 慶應義塾大学)

▲普通の作品なら修復が問題になるような年月ではないですけど、エアロゾルだしブロック塀だし20年は長い年月です。どう修復するか作家本人も含めていまも検討中だそうです。

我に触れよ展(KeMCo/KUAC 慶應義塾大学)

▲問題のブロック塀の全体像。

大山エンリコイサムの最初期の作品だけに実物も見てみたいですね。


南会場 – アート・スペース とキャンパス案内

三田キャンパス正門から桜田通りを渡ったところが「慶應義塾大学アート・スペース」です。

▲こちらは ”南会場” として西脇順三郎作品の修復やノグチルームの移設、修復の様子などが展示されています。ただ撮影OKですが公開NGです。

ノグチルームを見学するならまず南会場を先に見学しておくことをお勧めします。

▲キャンパス内の作品案内図です。

作品は全9点。東大は捨てちゃった宇佐美圭司の作品も慶応では丁寧に修復、保存され続けています。

図書館、図書館旧館、南館、西校舎は今回の展覧会があるので堂々と入ることができますね。


以前の展覧会「交景:クロス・スケープ」やKeMCoに関する記事はこちらをどうぞ。

それほど大規模な展覧会ではありませんが、美術作品の修復というユニークな視点、自ら収集した作品の修復という独自の立場。慶應義塾大学でしか企画できない展覧会なので見逃せません。

ノグチ・ルームの特別公開は11月6日が最後。休日に見学できるのはこの日だけです。なお事前予約などは不要です。

「我に触れよ(Tangite me):コロナ時代に修復を考える」
展覧会期 : 2021年10月18日(月) 〜 2021年12月3日(金)
開場時間 : 11:00 – 18:00
休館日 : 土・日・祝 (11月6日は特別開館、11月8日は臨時休館)
会場 : 南会場 – アート・スペース、東会場 – KeMCo
入場料 : 無料

慶應義塾大学 三田キャンパス
港区三田2-15-45

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