THE TOKYO TOILET
渋谷区内の17ヵ所の公共トイレを建築家やデザイナーなど16人のクリエイターが手掛けるという、日本財団のTHE TOKYO TOILETプロジェクトについてレポートします。
中が透けて見えるトイレとかTVなどメディアでも話題になっていますね。東京オリンピックで日本にやってくる海外のお客さんに、日本風なおもてなしをというコンセプトでもあるようです。
暗い、汚い、使いづらいという公共トイレのイメージを払拭し、トイレをアート作品に昇華させたい狙いもあり、渋谷区やTOTOそれに大和ハウスなども協力しているプロジェクトです。しかも、ドイツの世界的映画監督のヴィム・ヴェンダースがTHE TOKYO TOILETを舞台した作品を撮るというサイドプロジェクトも進行しています。主演はあの大和マン、こと役所広司です。
予定されている全17カ所のトイレのうち2022年8月現在で完成しているのが13ヵ所です。
そのうち4カ所は恵比寿駅周辺なのでまとめて紹介します。狭いエリアにぎゅっと集まっているので1時間もかからず回れます。
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恵比寿東公園 – 槇文彦
まずは恵比寿東公園、通称タコ公園です。ここは建築家の槇文彦設計のトイレです。
槇文彦と言えば代官山のヒルサイドテラスや千駄ヶ谷の東京体育館など様々な建築を手掛けている大御所の建築家です。
NYのワールドトレードセンター跡地に建設された4WTCビルも槇文彦設計です。建築家のノーベル賞と言われるプリツカー賞を1993年に受賞しています。
外観をみてみます。
屋根の形が特徴的です。このラインは東京体育館の屋根の形にちょっと似ていますね。▼
方角を変えて恵比寿駅方面を向いて撮影した外観です。▼
これはその逆から明治通り方面を向いて撮影した外観です。▼
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女子トイレ、男子トイレ、だれでもトイレがどのように配置されているか図面を見るとわかりやすいです。▼
これは3つのトイレの中央の屋根部分です。
屋根は全部を覆っておらず中央は抜けていて空が見えます。▼
その中央には木が植えられています▼
女子トイレ入り口側にはベンチがあって座ることができます。▼
男子トイレの入り口です。▼
だれでもトイレの入り口です▼
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こちらは男子トイレの中の様子。男子トイレの中にもオムツ交換台が設置されています。
ちゃんと時代に合わせていますね。なぜか使用禁止でしたが。▼
こちらは女子トイレの洗面台です。▼
個室は清潔感のある白いタイルです▼
見ていただいてお分かりの通り、四角いキューブが配置され、そのキューブをつなぐ場所が中庭であり回廊であるという作りはヒルサイドテラスのそのものです。
ここはさながら小さなヒルサイドテラスですね。屋根は東京体育館ですが。
場所 住所 利用時間 |
恵比寿東公園 (通称タコ公園) 渋谷区恵比寿 1-2-16 24時間 |
東三丁目 – 田村奈穂
さて、続いて東三丁目のトイレです。槇文彦のタコ公園からは徒歩5分程度です。
ここはプロダクトデザイナーの田村奈穂がデザインを担当しました。
こちらは山手線の線路と道路の間のとても狭い空間です。
写真の後ろに見えるのが線路です。
真っ赤でシャープな作りがとても鮮烈で斬新なデザインのトイレです。
知らない人はまさか公衆トイレとは思わないのではないでしょうか。▼
狭小空間の立地を生かしたデザインです。▼
手前からだれでもトイレ、男子トイレ、女子トイレです。
こんな感じでかなり狭小な空間をうまく利用してデザインされています。
でも実は女子トイレには個室が2つ向き合って設置されてあります。▼
ただ、独立した洗面はなく手洗いは個室の中にあります。▼
場所 住所 利用時間 |
渋谷区東3丁目、山手線路沿い 渋谷区東 3-27-1 24時間 |
恵比寿公園 – 片山正通
最後は恵比寿公園。東三丁目から徒歩5分ほどで到着します。
ここは南青山のLEXUSなども手掛けるインテリアデザイナーの片山正通デザインのトイレです。
今まで見た二箇所とは打って変わって重厚なコンクリートの壁がそびえるトイレです▼
公園の入り口側から男子トイレ、だれでもトイレ、女子トイレの順に並んでいます。
コンクリート打放しではありますが、杉板型枠のコンクリートなので木目のマチエールが温かみを感じるデザインになっています。▼
かなり凹凸がはっきり出ています。▼
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男子トイレの中です。間接照明の演出など、屋外のトイレとは思えない雰囲気です▼
こちらは女子トイレの入り口です▼
入り口からは中が見えないように設計されています▼
こちらが女子トイレの中です。
洗面台といい、鏡といい、どこか商業施設やホテルのような高級感があります。
場所 住所 利用時間 |
恵比寿公園 渋谷区恵比寿西 1-19-1 24時間 |
恵比寿駅西口 – 佐藤可士和
恵比寿での最後というか最初というか、恵比寿駅の西口、ロータリーや交番のある側はクリエイティブディレクターの佐藤可士和(さとう かしわ)によるトイレです。
ただでさえ人通りの多い恵比寿駅の、それも交番脇の公共トイレということで、これまで紹介した中でこのトイレを見たことがある人が一番多いのではないでしょうか。
地上から浮いているようにも見える不思議な建物。それが恵比寿駅西口公衆トイレです。
横から見るとトイレ用のピクトグラムが見えるのでトイレだということがわかりますが、知らないとトイレだと気が付かないかもしれません▼
どっちから見ても白くて四角いスリットが入った物体▼
外側のスリットの内側にトイレの建物自体が隠れています。
夜になると酔客も多い恵比寿なので、こうして目隠しされていると女性でもなんとなく安心して利用できますね▼
男女兼用の個室が3つ、多目的トイレが2つという構成なのですが、よく見ないとどれが目的のトイレかよく分かりません。ここら辺はやっぱりセブンイレブンのコーヒーマシンを手がけた佐藤可士和だけあります。もう分かってて確信犯的にやってますよね▼
いちおうサインはTHE TOKYO TOILET共通のものです▼
トイレの配置図です▼
場所 住所 利用時間 |
恵比寿駅西口 渋谷区恵比寿南 1-5-8 24時間 |
ここまで紹介した恵比寿4カ所の他に渋谷区富ヶ谷に2カ所、坂茂設計の透明なトイレが設置されました。こちらの方が実は「透明なトイレ」ということで話題にはなっているのですが、このブログのメインエリアである「麻布・青山」からはちょっと離れすぎているので残念ながら見に行っておりません。
各々場所についてはこちらに詳細が出ております。
恵比寿に来たら是非デザイントイレ散歩をしてみてください。