マンガと美術が一つになった27年ぶりの新作も。六本木ヒルズ「楳図かずお大美術展」

楳図かずお大美術展@六本木ヒルズ 東京シティビュー

六本木ヒルズの展望台「東京シティビュー(TCV)」で今開催されているのが「楳図かずお大美術展」。

特に話題なのが27年ぶりに描き下ろした新作 《ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館》で、連作の絵画として1点(コマ)づつ美術作品として鑑賞可能な濃密な作品です。

芸術新潮の2022年2月号でその一部は見られるみたいですが、全101点を直に見られるのはここ「楳図かずお大美術展」だけです。

▲今さら説明するまでもありませんが、少女マンガ出身でSFやホラーだけでなく「まことちゃん」のようなギャグ漫画まで幅広く活躍していましたし、紅白ボーダーのTシャツを着て妙にハイテンションでTVに出てくる姿でお馴染みな漫画家の楳図かずお。

そして「漂流教室」、「わたしは真悟」そして「14歳」といった先見性のある作品群で決定的な評価を得た漫画作家です。

今回の展覧会は過去の作品とそれらをモチーフにした現代アートの作家たちとのコラボレーション。そして話題の新作「ZOKU-SHINGO」が展開されています

スポンサーリンク

わたしは真悟 – エキソニモ

東京シティビューの展望スペースで展示されているのがアートユニット「エキソニモ」の作品です。

▲エキソニモの作品《回想回路》。

「わたしは真悟」の場面が表示されているモニター、床には大量のネットワークケーブルが山積みになっています。完全に「わたしは真悟」の世界のオマージュです。

そして外に見えるのは「わたしは真悟」での象徴的なモチーフである東京タワーです。

完全にそこに東京タワーが見えるよう計算して設置されているのです。この展覧会を象徴するような見事な作品です。

▲このように展望スペースをいっぱいに使っているのがエキソニモの作品。東京シティビューのSFティックな空間や眼下の東京の景色が「わたしは真悟」の世界を想起させます。

そして向かいには「わたしは真悟」の場面がモニターに表示されています。

▲昼間だと東京の景色がしっかり見えますし、東京タワーの印象もずいぶん違ってきます。

夜も昼も別々の魅力がありますね。

漂流教室

楳図かずおのSFジャンルでの傑作「漂流教室」がこの展覧会のイントロダクションとして展示されています。

▲伝染病、気候変動、地震、資源問題そして黙示録後な世界。今も私たちが直面し続けるキーワードをしっかり視覚化したヴィジョナリーな漫画作品ということでも評価が高い一作です。

また楳図かずおの今のところ最新作(でも1995年)な「14歳」はこの続編とも言える作品です。

楳図かずおの作品群

大掛かりな展示でありませんが、楳図かずおの過去の作品群も展示されています。

▲年表、それと代表作が年代順に並んでいました。

▲右端のは「わたしは真悟」の第一回が掲載されたビッグコミックスピリッツ。

「おろち」などホラー時代の作品などが並べられています。

▲これはフランスで開催されるB.D.(ベデ)の大イベント「アングレーム国際漫画祭 2022」に出品するポスター。会場で販売されるそうですから、これもピッカピカの新作。

ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館

おそらく今回の展覧会の目玉です。

楳図かずお27年ぶりの新作描き下ろしです。

▲この新作「ZOKU-SHINGO」の絵柄を使ったリーフレット、垂れ幕などこれからあちこちで展開されると思います。

このZOKU-SHINGOは全101点。しっかりしたストーリーもある物語です。

しかも1枚づつが絵画作品として成立するクオリティで制作されています。

ただZOKU-SHINGO関連のエリア内は撮影禁止なので具体的に紹介できません。でも楳図かずお話題の新作ですからまずは展覧会でじっくり観ておきたいですね。

▲《ZOKU-SHINGO》の展示エリアの外側には、ZOKU-SHINGOからの3点が引き伸ばされて展示されています。番号でいうと64、70、74番です。

展望台の窓際になるここだけは撮影可能つまり撮影スポットです。記念撮影などはここでどうぞ。

▲そのエリアに展示されている3点のうちの一つ。

こっちへ行けと指を指しています。指さされた方へ進むと、《ZOKU-SHINGO》の素描(着彩される前の鉛筆画)が展示されているエリアです。

ZOKU-SHINGO素描と富安由真

そこにはZOKU-SHINGOの素描101点が展示されています。

素描101点が展示されている部屋と、その中央に置かれた小屋は現代アートのアーティスト富安由真の手になるものです。なお、このエリアも撮影NGです。

▲参考までにこれは富安由真の過去の作品です。これで雰囲気が分かるかも。

大美術展でもこれと同じような暗影を使った非日常で劇的な空間を見ることができます。

照明が点滅したり電話機が鳴ったりとストーリーを想像させるような演出が施されていますから通り過ぎずにゆっくり時間を過ごしてみてください。

スポンサーリンク

14歳

楳図かずお大美術展の最後を飾るのは、ZOKU-SHINGOを除けば楳図かずおの最新作、といっても1995年の「14歳」。

「漂流教室」の続編ともいえる作品でスケール感はさらにアップして、最後は「2001年宇宙の旅」シリーズをも超えるスケールにストーリーが展開しての大団円です。

▲これは「14歳」の場面が描かれた部屋。

▲なんとも楳図かずおからの真摯なメッセージのように読めてしまいます。

これが27年前からこうした作中でこうしたメッセージを展開していたのが楳図かずおです。

鴻池朋子 と 14歳

この「14歳」の展示エリアには現代美術家の鴻池朋子の作品も展示されています。

▲《かずお14歳》

「14歳」をモチーフに、ドローイングとその上の階段とすべり台、それに映像からなるインスタレーションです。

楳図かずおといえばすべり台ですからね。吉祥寺の自宅、八ヶ岳の別荘など、どこにもすべり台があります。

ちなみにしばらく前に吉祥寺の家が荒れ果てているという記事がありましたが今はまた手入れがされて奇麗になっているようです。

▲あと大きい方のドローイングの隣にモニターがあるのでこれも忘れずに。これも含めてのインスタレーションなので。

▲モニターの中はイモムシです。

この世界がすべて詰まっているイモムシ。

▲《振り子 ゴキンチの先生》

天井の上の方に見えるのが振り子です。

▲「14歳」に出てくるゴキンチの頭部が振り子になっているという作品です。

▲《14歳 左手のエチュード》。

展望スペースの窓に原稿用紙がずらずら貼られていますが、これも鴻池朋子の作品です。

▲たどたどしい下手な字で「14歳」の作中のセリフが原稿用紙に書かれています。

鴻池朋子が左手で書いたのだそうです。

このように楳図かずおの新作《ZOKU-SHINGO》、エキソニモや富安由真それに鴻池朋子といった現代芸術の作家たちによる楳図かずおの世界感を押し拡げるような想像力溢れる作品が並び、とっても充実した展覧会です。

宇宙ではどんな想像も許される

そして最後は楳図かずおの感動的なメッセージで締めくくられています。

「14歳」の最後のセリフなので、楳図かずおからの最後のメッセージと捉えることもできますね。

▲「許される」。

フレーズ全体では「宇宙ではどんな想像も許される」。

アーティストだけでなく、これから世界に出ていこうとするすべての若い人たちに向けて、これほど心強いメッセージはありません。

▲これは昼間に訪問した時のもの。周囲の明るさが違うので夜と昼とでは作品の印象がずいぶん変わります。

会期は春休み中も続くので、六本木ヒルズで楳図かずおの世界とメッセージに触れてみてください。

会期 : 2022年1月28日(金) – 3月25日(金)  – 会期中無休
会場 : 六本木ヒルズ屋内展望台 東京シティビュー
開館時間 : 10:00 – 22:00 (最終入館 21:30)
料金 : 一般2,200円、高校大学1,500円、4歳〜中学900円、65歳〜1,800円

日時指定の事前予約制です。

楳図かずお作品

楳図かずお大美術展の公式サイトには作品紹介ページもあるので、まだ楳図かずおをよく知らない人はここからチェックするのもよいかも。

また、過去の作品や展覧会と連動した雑誌の芸術新潮はAmazonからも購入できます。

UMEZZ CAFE

展覧会場と同じフロアにあるカフェ「The Sun」が大美術展の会期中はコラボレーションカフェ「UMEZZ CAFE」となっています。

▲まことちゃんです。

SFでホラーでシリアスな作家だと思われていた楳図かずおの描くギャグ漫画ですが、「まことちゃん」のくだらなさってちょっと突き抜けていますよね。バカバカしいことを本気で突き詰めたら向こう側に行っちゃったみたいな。まさにBreak through to the Other Sideって感じで好きです。グワシッ!!

カフェもアメリカ国旗みたいな紅白ですが、もちろん楳図かずおのヘナヘナした紅白ボーダーのTシャツのインスパイアですね

▲紅白に塗られた吉祥寺の自宅(住んではいないみたいです)、通称「楳図ハウス」をイメージしたパフェ。1750円だそうです。

これ以外にもコラボメニューがあるのでUMEZZ CAFEのサイトをどうぞ。

▲コラボレーションカフェはいつも混むので、待ち時間も計算して訪問してくださいね。このカフェは予約ができないので混んでいると入店待ちの行列になります。

その代わり貴重なコラボメニューと250mからの景色が楽しめます。

スポンサーリンク

チケット情報、アクセス

チケット購入方法

東京シティビューや森美術館のチケットの入手方法は2つ。

一つは六本木ヒルズのチケットサイトで購入する方法。最初に会員登録をするかヒルズIDが必要なのが面倒ですが、いったん登録すればHILLS APP(ヒルズアプリ)を使った入場ができるので便利です。
iOS版ヒルズアプリ(App Store)
Android版ヒルズアプリ(Google Play)

もう一つはローソンチケットで購入する方法です。

どちらの場合でも1時間枠での日時指定予約になります。ただ当日空きがあれば、六本木ヒルズ森タワー3階の美術館・展望台チケットで購入することができます。

あと東京シティビューの「年間パスポート」なら予約不要でチケットを発券できます。ヒルズアプリと組み合わせればスマホだけで完結するので便利ですし1名までなら同伴者も1,000円で入館できます。六本木ヒルズを年に2回以上訪問するなら年間パスポートも検討してみてください。

東京シティビューへのアクセス

六本木ヒルズへのアクセスですが最寄り駅は日比谷線六本木駅。六本木ヒルズ側改札(広尾側)から出れば直結です。

大江戸線六本木駅を利用の場合はいったん地上に出て六本木ヒルズに向かいます。

また渋谷駅から都営バスの都01系統で新橋行きに乗り「六本木駅前」で降りればほぼ向かいが六本木ヒルズですし、「RH01六本木ヒルズ行き」なら文字通り六本木ヒルズ直行です。利用しやすいルートを使ってください。

六本木ヒルズに着いたら蜘蛛みたいなオブジェ「ママン」がある66プラザに出て大屋根広場を目指してください。映画館や大屋根広場の手前の小さい丸い建物(ミュージアムコーン)が美術館入り口です。週末ならたいてい行列しているか、付近でここだけヒルズのスタッフが立っているのですぐに分かると思います。

そしてミュージアムコーンから3Fに上ってブリッジを渡り、チケット・インフォメーションで入館手続きします(紙チケットの場合)。

森タワーのインフォメ裏エスカレーターからも3Fに上がれますが、チケット売り場が行列している場合はまたミュージアムコーンから並び直さないといけないので、当日チケット購入やヒルズIDがなければミュージアムコーン側からアクセスした方が良いです

楳図かずお大美術展 基本情報

名称 楳図かずお大美術展
会場 六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー(TCV)
会期 2022年1月28日 〜 3月25日 会期中は無休
開館時間 10:00 – 22:00
入館料 大人2,200円、高校大学1,500円、4歳〜中学900円、65歳〜1,800円 (屋内展望台入館料含む)
チケット購入、予約はこちらから

 

記事の評価
スポンサーリンク


コメントを残す

こんな記事も